現代に伝える鹿鳴館の響き
トヨダ・ミュージックサロン所蔵のリードオルガンについて
当サロンは、地元のイベントにあわせ、コラボレーションで幅広い層に、良い音楽を楽しみながら聴く「音楽の街づくりコンサート」を皆様のご理解とご協力で、続けております。
このたびサロンにエスティ社製のリードオルガンが新たに加わりました。運命の出会いという形で入手することができ一同喜びましたが、当初はまだ単に骨董品展示物でした。その後復元技師により、丁寧に長い時間をかけ、ほぼ当時の音量と音色が出る楽器として甦りました。
国内産の足踏みオルガンは今も、あちこちにありますが、アメリカ製のエスティーオルガンは、今までの調査では日本に45台だけだそうです。その中でも現在音が出るのは、僅か数台しかなく、当サロンの楽器は、当時のままのピッチや音が出る最も古い楽器に所属します。今はもう世界中のどこでもこの楽器は製造されていませんので、歴史的にも非常に価値の高いオルガンと言えます。
アメリカ/エスティー社 1899年12月8日製造 61鍵製造番号:309224 製作 H.W.SANDERS H200W116D57 復元技師: 日比野四郎
美しい響きは、修復チ-ムの力によってよみがえりました
修復内容
・ストップボタン・レバー担当: 通商産業大臣賞、農林大臣賞の受賞こけし作家 田村昇氏
・塗装担当: ピアノ塗装ではドイツ・スタインウェイ社の公認塗装技術者としては日本でただ一人の丸山孝氏
・骨組み担当: 釘を一切使わない組み手構造を、アトリエ倭の名工の方々。 他
各部品の材料にユネスコ無形文化遺産の細川紙や、デザインの美しいオリエンタル純毛絨毯、英国製の天然塗料など、入手困難となった材料を国内外から探し当て、復元技師日比野四郎氏によって、1899年製作当時の原型に忠実に復元され、当時の優雅な音色を奏でております。
この音色を届けたい
脚踏みをすることにより、風を送って呼吸するように音を出すこの楽器が奏でる響きは、星のまたたきにも似て、F分の一の揺らぎを感じさせます。また、日本古来の楽器、「笙」(しょう)の響きとも似て、日本人の心に心地よく溶けこみます。
単なるノスタルジーではなく、21世紀を迎えた今、この楽器と共に、明治から大正、昭和と二十世紀前半の日本の音楽文化として歌い継がれてきた「唱歌・童謡・抒情歌」を、日本の未来を担う次の世代の子供たちに、そしてさらに多くの方々に、情操を育むために届けたいと願っております。
このオルガンで録音した楽曲が使われた 映画「淵に立つ」がカンヌ国際映画祭で受賞!
このオルガンで録音した楽曲(「紡ぎ歌の夢」豊田裕子/作曲・演奏)が使われた映画「淵に立つ」が第69回カンヌ国際映画祭で受賞しました。
支援会員・寄付のご案内
トヨダミュージックサロン(一般社団法人ミュージック&アートソサエティーOTOKURA)は、音楽芸術の発展と、平和で豊かな社会を理念に活動しております。
音楽は、言葉や文化、国や、民族の違いを超え、赤ちゃんからご年配の方まで楽しめる文化的営みです。この楽器の他では表現できない音楽の純粋性が、日本の未来を担う
子どもたちの、情操を育み、生き生きと成長するために役に立と確信し、激しく移り変わる時代に振り舞わされることのない知的経験に勝る、じかに見て聴いて触れて心と身体で感じる感情経験の機会を作る活動を日々続けております。
当OTOKURAでは、音楽活動を維持・継続し・さらに発展充実していくために、当サロンの活動に賛同し、応援してくださる個人、団体、企業等のご支援を募っております。
お寄せ頂いた寄付金は著名な演奏家を招聘より、極めた音の響きを味わっていただくために、年4回音楽の街づくりコンサート開催準備と実施活動に楽器のメンテナンス、調律のため、楽器の保存状態を良くするための付帯設備(湿気、乾燥)等、広く音楽の普及や文化支援活動のために使われております。